空に、ふる音

文と写真:碇本学

街路樹の小枝にひっかけられたベビーソックス
視線を見上げると航空地図という文字が
ビルの窓ガラスに書かれている
歩き続けるという通過儀礼
その果ての三叉路
知らぬ間にマヨイガに行けるわけでもなく
神隠しにあってここから消えてしまった人たち
ここではないのにここと重なり合う次元
透き通るようなすれ違う人や動物たち
すべてが同時多発的に存在して
消滅していく
折れた矢が刺さった
体躯の小さな馬の瞳から流れでてくる
ひかりの輪
聞こえないはずの蹄鉄の音が
アスファルトを弾く
駆け出したあとに残されたそれを
拾い上げて
ガードレールに音叉するように
鳴らして
音が揺れるまま
空に
地に
先に
ふる