『RECORD JUNKIE ANIMALS』 Wouldn’t It Be Nice (RJA-001)

文と絵:山田タクヒロ

「ビーチボーイズの新しいアルバム、どう?」
「どれどれ…。へえ、なんか変わってるね。」
「でしょ!?オレもはじめて聴いた時、ビーチボーイズっぽくないし、なんか暗くてさぁ。アタマに来てジャケ食べちゃうとこだったよ!」
「でも、聴いてみるとなかなか…素敵じゃないか」

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『解説』

PET SOUNDS/THE BEACH BOYS(1966)

このアルバムと出会ったのは大学生の頃だったかな。
当時、私はガレージやサイケポップのバンドをやっていて、バンドメンバーの誰かが持って来たんだっけ。
渋谷系のひとたちにもペットサウンズはもてはやされていてコーネリアスがCDシングルの写真でブライアンウィルソンの真似をしたりしていたな。

私はビーチボーイズでは田舎的で優しいアルバムの「フレンズ」を先に聴いていたから、なんだか複雑そうでちょっと難しい響きのペットサウンズを聴いたときは、良い!というよりはよくわからない、というのが第一印象だった。
何かの本で読んだのだが、当のビーチボーイズのメンバーでさえ、コンサートツアーから帰って来たら、スタジオにこもったブライアンによってすでにこの前衛的な曲たちが完成していて、驚きのあまり思わず「こんなの誰が聴くんだ?犬か?」と言ったという…。

しかしどうもこのアルバムには何かあるぞ。。
なんなんだコレ、どうなってるんだコレ、…と聴いているうちに次第にこの偏執狂的ポップミュージックに魅き込まれてしまった。
かめばかむほど味が出て来る、究極のするめアルバム。おそろしや。

今ではペットサウンズのセッション音源も出ていて、ヴォーカルハーモニーだけとかのバージョンも聴けるんだけど、お化粧を取ったすっぴんもこれまたべっぴんで…たまらないのです。